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寒風沢島の防潮堤整備事業になぜ棄権したか?

寒風沢島の防潮堤整備事業になぜ棄権したか?

11月27日(水)
寒風沢島の防潮堤整備事業になぜ棄権したか?[#

 11月定例県議会が11月22日に開会され、工事請負契約案件など8議案が先議に付されました。日本共産党県議団は25日の本会議で、8議案中2議案について、反対はしないが賛成もできないことから議場を退出して「棄権」しました。
 この「棄権」という態度表明については、県議会事務局は公式には宮城県議会に「棄権」という態度表明はないとの見解をとっています。宮城県議会のホームページに掲載されている「各議員の表決状況」では、賛成が○、反対が×、採決に加わらない議長が議、あらかじめ議長に欠席届を出して不在の場合が欠、今回のような県議団の対応については「-」と表記され、「議場に不在」と説明されています。この問題は憲法上の解釈も含まれるので、稿を改めて論じたいと思います。「棄権」の場合は、討論ができないので、以下党県議団の対応について説明しておきたいと思います。
 また、とくに11月26日の地元紙『河北新報』に、25日の本会議の様子が囲み記事で紹介されています。(別紙1)この記事は県当局の言い分を相当代弁したもので、あたかも共産党県議団は耕作放棄地に防潮堤をつくることに異議を唱えているかのように描いています。それほど短絡的に判断して棄権したわけではありません。ここで、党県議団がなぜ棄権という選択をしたのか、事実経過に即して正確に記してみたいと思います。
 11月9日付の『毎日新聞』に、「無人島に防潮堤必要!?」という記事(別紙2)が出て、大変びっくりしました。そこで県議団では至急、塩釜の浦戸諸島の現地調査が必要と判断し、塩釜市議団と共に、11月16日に船をチャーターし現地調査をしました。その時に同行した赤旗記者が書いた記事が(別紙3)です。
 また、浦戸諸島の防潮堤問題を調査するにあたって、県の各担当部局から取り寄せたものが、「資料コーナー」に掲載されている、位置図や施工計画一覧表ですので、関心ある方は、そちらもダウンロードしてご覧ください。
 寒風沢島の東三百浦の農地海岸を原形復旧するための2議案について、横田有史県議が知事提案を受けて本会議質疑した原稿メモが(別紙4)です。ここでのポイントは、農地海岸というのは、農地保全が大前提なのに、この土地は長い間耕作されておらず、希望的観測は別にして、現実的に将来耕作の見通しがあるのかどうか、拙速に判断せずに議会・委員会としても現地調査なりをして、利活用の可能性などを慎重かつ十分に精査した上で議決すべき案件ではないかという問題提起をしたということです。
 党県議団としては、賛否を判断するためにも、国がこのような事態に対し、どういう見解を持っているのか、とくにこれから無人島の防潮堤議案も登場する予定になっていることから、とくに農水省所管の農地海岸について、農地保全が目的でない場合も農業予算で災害復旧が可能なのかどうかを確かめる必要があると思いました。そこで、国会の農水担当である紙智子参院議員を通じて、国の見解を聞いてもらうことにしました。
 紙議員の秘書から、農水省の農村振興局の防災課の担当者から聞いた内容として、以下の点の報告がありました。
 「無人島に防潮堤はいかがかという疑問はわかる」「今の時点で取りやめにするにしても、それなりの理由が必要なので近々現地に調査に入る」「(毎日の)報道の事実はあるが、災害査定の際に当初言われたのは、塩釜市の方から農地を整備して今後耕作するからということであった」「予算は、農地海岸の場合は農地保全という目的で当然農業予算でおこなわれる」
 要するに、農水省の回答は、「『農地保全のための復旧』と考えていたが、事実とは異なる指摘があるので、『現地調査を行って今後の対応を決めたい』」と解されます。
 一方、寒風沢島の当該施工区域の地権者らの意向も重要と思い、必要な情報収集もおこなったところ、この部分の工事については合意していることなどがわかりました。党県議団としても、いま耕作されていない土地だから駄目という単純な図式で考えるのではなく、とくに農地については、TPPによる農業つぶしという切迫した事態もあり、いろんな意味で農地保全の意義は大きいと考えています。また、地権者が自分の土地を高潮や波浪から守りたいという気持ちも理解できます。だからこそ、何も急ぐ必要のない防潮堤工事ですから、議案の継続審議をあくまで求めるということを基本に、25日の環境生活農林水産委員会の審議に遠藤いく子県議はのぞみました。
 その結果、この土地が10年間にわたって耕作されていない土地であること、無人島については11月の21日・22日の両日に国が調査に入っていること。県当局は、もっぱら海岸法にもとづく国土保全の必要を強調する答弁になっていること、農地保全という目的が失われた場合には海岸保全計画そのものの変更が必要になるのではないかとの議論など、委員会審議で新たな事実や論点などが浮び上がりました。
 しかし、県当局が先議としての採決にこだわったことや、多数会派の自民党県民会議の中に、先議とされているものを継続にするわけにはいかないとのこだわりがあり、結局採決が強行される結果となったために、遠藤いく子委員は退席し、この議案には棄権する意思表明をおこないました。その後の本会議でも、この寒風沢島の防潮堤議案には退席して「棄権」の意思表明をおこなったものです。
 非公式筋からの情報ですが、自民党の中でも「共産党県議団の見解には一理も二理もある」「今後の見通しがないまま議案提案されたのは遺憾だが通さないわけにはいかなかった」などの声が出ているとのことです。
 この2議案は、災害復旧工事だからとの理由で、急ぐべき案件として先議にされましたが、中身を見れば、けっして今日明日を争うほどの急ぐ工事案件ではありません。県議会として、現地も見て、農地としての利活用計画がどなっているのかなど慎重に調査し、判断されるべき案件です。これを国の災害査定で国費で面倒見てくれるとなっているものは急いでやってしまわないと駄目だということで対応しているから、このような矛盾や問題が生まれるのです。党県議団の対応こそ理にかなったものであることはきっと歴史が証明するでしょう。

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